ハクメイとミコチの感想と考察〜第1話きのうの茜
【ネタバレ】あらかじめ本編を鑑賞後にお読みください。
ハクメイとミコチは、人と人との関係についていろいろ考えさせられる漫画だ。
第1話は短編としてつくられたからか、二人の関係や出会い、一緒に住むようになった経緯が省かれている。言わば第2話から始まった感じだ。
その結果、二人がどういう関係なのか、話数が進むごとにじわじわと味わっていけるという仕様になっている。
ドキドキワクワクするストーリーというよりは、丁寧に書き込まれた絵や、結末に至るまでの会話、行動の中に現れるお互いへの想いを想像して楽しむことがハクメイとミコチの魅力であろう。
第1話のあらすじは、タンスを買ってきたら新聞屋が来て、新聞に載ってた白いトビを見に行ったら、ミコチが子供の頃に餌付けしていた鳥でした、という内容だ。
冒頭で、ミコチは重いタンスを運んでいるが、ハクメイは手伝おうとしない。それどころか、「メシを作ってくれ」と、居候のくせにいい態度だ。ミコチが料理してても手伝わない。
なのにミコチもあまり文句を言わない。
なぜだろう。
二人の格好を見ると、服や帽子のデザインが違うことから、出身地が異なることが分かる。また顔や髪の色からは姉妹ではなさそうだ。
第一印象で、若い恋人同士か、孤児の共同生活かと思うが、後に明らかになるように、ハクメイは女の子(23)だし、ミコチは24歳と立派な大人だ。
なおハクメイの前掛けには太陽のような柄がある。帽子の柄も日の出だ。一方でミコチの帽子は三日月である。後にこの種帽子は出身地をあらわすことになるが、第1話の時点では、ハクメイを太陽、ミコチを月のイメージでデザインしたのではないだろうか。
扉のページでミコチが料理している脇にプチトマトが置いてある。やけに大きく見えるが、それもそのはず、二人の身長は9cmしかない。小人の話なのだ。
新聞を運んで来た号外バッタの大きさで、スケール感がさらに強調される。
号外を見たハクメイは、夜明けに出会うと願いをかなえてくれるという夕焼けトンビを、なんと捕まえに行くと言う。
なんのために?
旅行と、荷運びのためだと言う。荷運びは、もちろんミコチのタンスだろう。旅行はハクメイの趣味に違いない。
というわけで、夕焼けトンビを探しに行く二人だが、インドア派のミコチは山道が酷だったようだ。
何も言わずに道を切り開いてくれるハクメイと、それに気づいたミコチだがお互いに何も言わない。最初タンスを手伝わないときは、怠け者ハクメイと思ったのに、印象が変わってくる。
途中、山道で出会ったマイマイカブリ?に乗せてもらう。この漫画、昆虫を含めて動植物はリアル路線である!後にコクワガタのコハルが登場するが、死亡時?のボクサースタイルは気持ち悪いほどリアルだった(笑。
山頂に着いて、お昼の残りのミネストローネを食べようとすると、夕焼けトンビが現れる。ミコチが餌付けしてたカフゥというトビが夕焼けトンビだった。白いトビが夕日を浴びて赤くなるのだ。
ミネストローネとか、トマトの食べすぎで赤くなったと言うハクメイの説はともかく、野生のトビで全身が白くなる白化個体は実在する。その場合も完全なアルビノではなく、色素をつくる遺伝子の異常でやや茶色から朱色っぽい色が薄く残るのが特徴だ。
また白い羽はプリズムのように周囲の光を乱反射させて色を出すため、周囲の色に染まるのも事実である。
ちなみにフラミンゴの桃色は食べているプランクトンの色であるが、ハクメイのトマト食べ過ぎ説はそこから来ているのかもしれない。
ミコチの作ったミネストローネを食べて去って行った夕焼けトンビ。ミコチが満足そうなのは、カフゥに再開できたからか、フラれたのではなかったからか。
ハクメイの小旅行は達成されたが、ミコチのタンス運びは忘れられた。
この後もたびたび、ハクメイが気を使ってるのにミコチが気づかない、という描写がでてくる。ミコチは器量よしだが、どこか鈍いという設定らしい。
ハクメイとミコチの関係はもしかしたら、対等の関係を意識してるのかもしれない。一方的に相手の得になることはしないが、自分にも得ならやる、というような。
お互いをたっぷり愛するというより、お互いの負担にならないようにバランスを保つ、的な?
ハクメイとミコチは性格も好みも全く逆なのだ。それでも、不思議と上手くいくのはなぜか?
そんなことを考えながら読みすすめたい。
【二人の出会い】
第1話だけ読むと、ハクメイとミコチがどんな関係なのかほとんど分からない。倦怠期の夫婦という説もあったし。
後に、二人の住んでいるのはマキナタという新興都市の町外れの楠(くすのき)、ハクメイはムカク、ミコチはケイという別々の国から移住してきたと分かる。
ミコチが住んでいた家に、ハクメイが転がり込んだらしい。
ハクメイは諸国を放浪していたとき、泥棒に持ち物を全部取られて、通りがかりのキャラバンに拾われ、身一つでマキナタに着いた。
マキナタに着いてからも、宿無し時代があり、あちこちで野宿していたようだ。
これは想像だが、楠の家もミコチが手に入れる前はハクメイの野宿先のひとつだったのかもしれない。
ハクメイが居候させてもらう代わりに、家や家具を直したり作ったりする約束とか。
だとすると、二人の対等な関係というのも分かるのである。
ちなみにタンスは、やはり玄関から入らず、一度バラしてハクメイが直したようだ。もしかして、それが分かってて手伝わなかったのかも。
【アニメ】
アニメは細かいとこで違いがあって面白い。分かりやすくなってる部分もあるし、解釈の違うところもある。
冒頭では、タンスを運んでるミコチの前で、ハクメイがもう道をつくってる。ひとりだけ怠けてる感がない。
マグカップを割るエピソードがある。ここで来客用のマグカップを使っていたハクメイに新しいのを買うと言うミコチ。最初は客?だったハクメイが同居人になったことを暗に説明している。
漫画ではよく分からなかったが、号外バッタはショウリョウバッタのようだ。
あとハクメイ、眉毛太ったのか?
二人が乗せてもらう昆虫が、シデムシ?になってる。マイマイカブリは長いからなー、画面に入らん。
漫画では登山の準備(カバン)は存在が忘れられてるが、アニメはちゃんと出てくる。中身のピーナツはアニメのみ。
また来ような!とかイケメンなセリフもアニメのみ。また男に間違えられるぞ…
ミコチの上目づかいの破壊力すごい…