ハクメイとミコチの同人〜びんどうと竹筒
【同人】ハクメイとミコチの同人です。ハクメイとセン、カテンが出てきます。センの職業が川魚の卸なので、どうやって魚を獲っているか考えてみました。
【岩貫会にて】
ハクメイとカテンが出発する。イワシが見送る。
ハ「じゃあ、ちょっと副長と行ってくる」
イ「おう。ヤケドすんなよ」
ナライが奥から出てくる。
ナ「カテンとハクメイたぁ、珍しい組み合わせだな」
イ「ハクメイの友達が、なんかでかいもん組み立てるそうで、大っきい人手がいるそうなんすよ」
ナ「お前は行かんのか?」
イ「俺は、別に…」
ナ「妬かんのか?」
イ「えっ、ハクメイにっすか?いや、俺は同族がいいんで…」
ナ「そういう意味じゃねぇ…」
道を歩くハクメイとカテン。
カ「どうしてイワシを連れてこないんだい?」
ハ「うーん、なんとなく」
カ「ふーん」
ハ「イワシは、初対面ではちょっと怖いからな」
カ「繊細な子なのかな?」
【センの工場】
洞窟の中のガラス工場。
ハ「これはすごい。うちの温室のガラスもここで作ったのか?」
セ「ああ。ガラスは基本輸入なんだ。ここでは平板を加工しているのだよ」
ハクメイはカテンを紹介した。
ハ「副長のカテンだ」
セ「副長?偉い方なのか?」
センはひそひそ聞いた。
カ「センちゃん、よろしく」
セ「ああ…よろしく頼む」
センはカテンが気に入ったようだ。
セ「びんどうと言うのは、」
センは黒板に図を示した。
セ「このように円柱形のガラスビンに、湾曲した入り口をつけて、魚を閉じ込める漁具だ。魚が壁に沿って進むか性質を利用している。このように一度中に入ると、ループする軌跡を泳ぐようになるというわけだ。」
カ「なるほど」
ハ「ガダイではみんなこれで魚を獲ってるのか?」
セ「いや…波で壊れたびんどうを放置する不届き者がいてな…危ないから禁止されてるんだ。幸いマキナタでは自由だし、アタシのつくるのはそう簡単には壊れない。魚を傷つけずに捕らえるのはこれが一番なのだよ」
ハ「平板を曲げてつくるのか?」
セ「ああ。ハクメイはダイヤでガラスを切ってくれ。副長さんはガラスの加工を手伝って欲しい。」
ハ「そういや、なんで骨じゃダメなんだ?うちを直したとき大きい骨があったろ」
セ「前はそうしてたのだがな。ガラスは滑るのだよ」
ハ「あー、大事なのは肉球か…」
【ガラス加工】
セ「ガラスを加工するには型に流し込むのが簡単なんだが、今回はバーナーを使う。このバーナーは先端に金属パイプのコイルが付いていて、燃料をバーナーの熱で高温にして噴射する仕組みだ。」
ハ「最初は焚き木かなんかで余熱するのか?」
セ「そうだ。そしてこのように砂を固めて作った枠の上にガラスを置いて、バーナーでゆっくり暖め、枠の形に曲げていく」
ハ「この切ったガラスは?」
セ「棒状のガラスがあるだろう。こうやってバーナーで少しずつ溶かしながら、ガラスとガラスを繋いでいくんだ」
ハ「あー、これだけ大きいと、組み立ての方は正直出番ないな」
【センとカテン】
ハ「じゃあ、わたしは昼食を作ってくるから、あとは副長頼むわ」
ハクメイは台所のあるジョージのところへ向かう。センとカテンは作業をしながら話し合う。
カ「ハクメイが料理するのかい?」
セ「ああ、アタシは小食なのでな。アタシが作ると、ハクメイには全然足りないんだ。…アタシのとこに来るときはいつもハクメイが作ってるが、普段は違うのかい?」
カ「違うねぇ、面白いねぇ」
セ「そういえば、いつもハクメイが言ってるイワシの親方は来ないのだな」
カ「イワシは顔が怖いからね」
セ「なんだそれは…」
カ「気になるのかい?」
セ「アタシは人付き合いが苦手でね。ハクメイは例外なのだよ。だがハクメイはアタシより仲が良い友達がいるのだろうな…」
カ「ん?」
セ「何を言ってるのだアタシは…」
カ「ミコチはどうなんだい?」
セ「あれは仲が良いのかね?しょっちゅうケンカしてるが」
カ「倦怠期の夫婦みたいなもんかね?」
【お昼】
ハ「言われた通りイモを蒸したけど、副長だってこんなに食べないぞ」
セ「残りはびんどうの中に入れる餌にするのだよ」
ハ「このやけに臭い緑と茶色の粉は…」
セ「藻を乾燥させたものと、蛾の蛹の抜け殻を粉にしたものだ。この匂いで魚がよってくるのだ」
ハ「なんか食欲が…」
セ「チーズとバターと生ハムもあるが…」
ハ「いただきますー」
カ「午後からはどうするんだい?」
セ「いま加工したのが冷えたら、繋ぎ合わせて完成だ。冷ましながらだから、時間はかかるが少し暇かもしれない…」
ハ「副長、くる途中に竹林があったから、あれ作ろう。あれ!」
カ「あーあれ」
【竹筒】
作業の合間にカテンが竹を切ってくる。それをハクメイが加工する。
セ「これは、ただの竹筒にしか見えないが…」
そうしているうちにびんどうも完成した。
ハ「こいつも今日仕掛けるのか?」
セ「いや、びんどうは一時間ぐらいで魚が取れるのだ。もう一度チェックして、明日仕掛けるよ」
ハ「じゃあ、竹筒は先に仕掛けちゃおう」
セ「それで何が獲れるのかい?」
ハ「ああ、夜の方がいいんだ」
【翌日】
ハ「どうだセン。びんどうの調子は」
セ「なかなか快調だよ。ほらこんなに」
ミ「新鮮できれいな魚ね。上物だわ」
セ「ところでハクメイ、あの竹筒で獲れたのは魚かね」
ハ「あれはウナギ。狭いとこが好きなんだ」
セ「食えるのかね…」
ミ「すごく手間がかかるけど…蒸して油落としてタレをつくって焼いて…」
イ「珍しいもん食わせてくれるって聞いたけど、こりゃちょっとした加工場を作らなきゃだめだな」
ハクメイはイワシと蒸し焼きの釜を作り始めた。ミコチは魚をさばく準備をしている。
カ「仲良しでしょ?」
セ「副長、昨日イワシの親方を連れて来なかったのは…」
カ「ん?」
セ「もしかしてハクメイの乙女心なのか?」
カ「…全然違うと思うよ」