考察しながら読む少女終末旅行「06遭遇/07都市/街灯」
カナザワが登場する。カナザワは地図を作りながら旅をしている。彼の持ち物はゴーグルとカメラ、二つのカバンとタバコである。
このカバンのひとつは、かつて一緒に旅をしていた女性のものだと、あとでもらったカメラのデータから推測されている。
この回は、前の回までで漠然としていた世界観を説明するという目的を持って書かれたのではないだろうか。
「人はなぜ生きるんだろう」は繰り返し問われるテーマとなる。旅をしている現状や、上層へ向かっていること、都市や文明の状態などがカナザワとの会話を通じて語られる。
タバコを発見してからカナザワに警告する二人を見ると、ある程度の訓練を受けているようすがわかる。ユーリが文字がほとんど読めないところからも、まともな教育は受けていないようだ。
チトとユーリという名前も、ここで判明するのだろうか。カナザワは読者への説明役をしていく。
階層型都市の外観が示され、連絡塔や基盤が古代文明によってつくられ、その後に彼らの祖先が住み着いたことが示唆される。
看板には「連絡塔か-07」と書いてある。住宅地に住んでいたのは彼らの祖先らしい。読める文字が使われていることから、すでに漢字の進化した文字の文明より後退した時代のようだ。
あと住宅には窓やドアがないし、外れたドアや窓が落ちていることも少ない。
これらのことから推測されるのは、
・古代文明が崩壊したのち、古代人はどこかへ消えたということ。
・古代人の生き残り、もしくは日本文化を引き継いだ集団がどこかにいて、彼らの子孫が移住してきたこと。
・第二次文明は第二次世界大戦の武器を復刻する程度まで発展したこと。
・第二次文明も崩壊したこと。
などである(カナザワの推測であるが)
疑問が湧く。古代文明が崩壊した後に移住してきた人々、彼らの祖先は、どこから来たというのだろう。この謎は最終的に未解決のまま完結する。
そして最終回後も二人が生きているのではないかという希望にもなっている。というのも、日本語だった文字が進化した文字になるまでの間、人々が生きていた場所がどこかにあるはずだからである。
古代文明の特徴は、レーザー核融合と自律機械、階層都市で、私たちの現代文明が少し進んだ西暦2100-2200年前後に崩壊したと仮定し、第二次文明が栄えたのが寺院の記述から西暦2800年頃、第二次文明が崩壊したのが昇降機の年代から西暦3000-3100年頃と仮定する。文字が変わるぐらいの期間、どこかで人々が生き続けたことなる。
文明崩壊の原因も最後まで謎のままだが、死体が(最下層まで)ない、窓やドアがない、街がある程度綺麗という点からも、水没説は有力である。前述したパイプや排水、空調施設、高床式住居からも推測される。
上の階層ほど都市機能が残っているというカナザワの推測は、街灯がついていたのである程度正解だったようだ。ただし、燃料や食料はほとんど残っていなかった。
チトとユーリが上を目指すのは、おじいさんの言葉が原因であるが、カナザワが登ってきたのは何故であろうか。別れたとき北へ向かうと言ったのも理由がわからないままになる。
生きる意味は「ない」という結論が述べられる。それでも生きている理由を見つけるのが旅のテーマのようだ。ここでは、「生きていればたまにはいいことある」と述べられる。このように、解答を述べるのはユーリの役割というのは、今後も続く。