ひーらぐ日記

自然をこよなく愛する写真家?趣味や興味や楽しかったことだけ書く。

考察しながら読む少女終末旅行「25電車/26波長/27捕獲/28文化/29破壊」

電車

扉絵を見ると、時計とそれを動かす歯車が描かれている。チトが乗っているのは電車であろうか。ユーリが持っているのは大きな懐中時計に見える。空を魚とともに人工衛星が飛んでいる。

プラットホームに立つ二人の後ろには、路線図?のようなものがある。A7で乗り換えるとB路線に行けるのだろうか。自律機械と、機械語?の模様が見える。未来文字でA5と書かれているのは、文明崩壊後も利用されていた形跡である。

このように、古代文字(日本語)から未来文字に変わる過渡期の文字が見られない。文明崩壊後に無人の期間があって、その後未来文字を使う人々がやってきたようだ。

その無人の期間、人々はどこにいたのか、というのが大きな疑問だ。

5巻のあとがきで分かるが、魚生産施設から電車まで、基盤殻層の中の出来事である。

レールが1本なのでモノレールのようだ。ドアが大きいのは、利用しているのが人だけではないことを示している。設定資料によると機械や資材を運んでいたらしい。

細かいことだが、アニメでは電車のくる方向が逆になっている。

電車は何かの生産設備の上を高架で通過する。中にはレトロな長椅子があり、動かない自律機械があり、長い資材のような椅子?がある。

チトがカメラを動かすのは久しぶりである。3巻の墓の謎の石像を撮った以来だ。

電車の色は黒らしい。大きな自律機械は体に時計?のようなものがある。二人が話している間に動いているような気がするが気のせいだろうか。

A6に着いたとき開いたドアはかなり大きい。資材運搬用のようだ。そういえばこのあたりは椅子がない。

 

波長

駅に到着して降りる。終着駅にも見えないのだが。電車は先に動いていく。まだ基盤殻層の中のようだ。

ラジオから音が聞こえる。後にエリンギたちの通信シグナルであると分かる。近くで活動しているのだろうか。だとすれば何を処理しているのだろう。

二人が休むのは、先に出てくる大型の人型破壊兵器の頭部である。パイプが出ているところから電力源として使っているように見える。

大型兵器が並んでいる。ピニオンギアに見えるのは足の裏の部分のようだ。自立しているのか、上からワイヤーで吊るされているのか。

昇降機の隣に街灯が見える。隣は大型兵器用のカタパルトだろう。

二人が地上と言っているのは基盤層の屋上部分である。この基盤の上にも人が暮らしていた住居のような建物がたくさんある。

 

捕獲

いい景色にいい音楽、ということはラジオが鳴っているのだろうか。アニメでは鳴ってないだろとチトの突っ込みがある。

ユーリが見つめる上の基盤層にも穴があり、巨大なエネルギーで貫通したことがわかる。

5巻によると、爆心地クレーターとあるので、何かが爆発した後のようだ。

チトが髪の毛を気にする。設定資料によると、女の子らしいしぐさということで、アニメでは別の場面でも使われている。

日付は3231年1月5日。年が変わったようだ。 穴が真上から何か落ちてきてできたように見える。衛星から落ちる質量兵器の類だろうか。

ぬこは結構素早いようだ。

ぬこが入っていたのはパイプというよりロケット砲の発射台のようだ。

ぬこが後をついてきた理由であるが、ユーリよりチトになついているところから髪型ではないかと思う。寺院で見たエリンギの親玉とチトが似ているからではないだろうか。アニメでも、ユーリに捕まって慌てていたのがチトを見て落ち着いている。

 

文化

謎の装置のある回である。再びバラックのような荒れた街並になる。ぬこは銃弾や燃料など熱を発生するものを食料にしている。

言葉を教えて覚えたようだ。エリンギがすでに人間の言葉を明瞭に話すのと違いがある。群体で行動したのがはぐれたのだから、もともとは同じようなもののはずだ。もしかしたらリーダー的な役割の個体しか話せないのかもしれない。

チトが発見したwar in human civilization は文明と戦争という本で、戦争が人間が自然に取得した性質なのか、文明特有のものなのかを検証した内容である。

古い遠い場所の文字と言っている。古代文字は古い近い場所の文字という認識があるようだ。

アニメでは20mmを飲んだヌコの写真を撮るのだが、日付は3231年3月2日である。

謎の機械はスチームパンクアートなのか風力で動く時計なのか。漫画だと街中にあるが、アニメではかなり広い場所にある。

 

破壊

扉絵には大型兵器の足の裏が見える。急に落ちてきたのは、またケーブルが切れているのでそれが原因かも。

アニメだと「きけん」の看板があり、上から鉄骨が落ちてきている絵が書いてある。

倒れたのは製鉄所の上らしい。

ヌコがソケットに手?を入れると電源がついた。エリンギは核燃料や化学燃料を取り入れて安定化させるだけでなく、エネルギーを出すこともできるようだ。

エリンギはなんのためにそれをやっているのだろう。エネルギーを安全に取り出せる状態にして休眠に入り、何を、誰を待っているのであろう。

大型兵器の文字が古代文字なので、古代文明の兵器であるようだ。ミサイルと、レーザーが装備されている。一発で街の1ブロックを消滅させる威力があるようだ。

スプリンクラーが作動して、換気が始まり火が鎮火していく。古代の都市は戦争まで想定して建設されているのだろうか。

 

考察しながら読む少女終末旅行「22技術/23水槽/24生命」

三巻の後半である。1-2巻のパターンからすると、新たな登場人物が出てくるのだが、人ではなく自律機械という話をするロボットが出てくる。

基盤層と連絡塔からなる都市の施設を維持管理する建設機械だ。自我はないが、共感能力により人と円滑にコミュニケーションできる。残念なことに、機械のメンテナンス機能が失われており、長い年月の間に発生したバグによって正常な動作をしているものは少ない。

螺旋で話がひと回りし、中間地点を過ぎた。ここでは第1話と同じ始まり方をしている。状況が似ているというのは、第1話も22話も基盤殻層の中であること。テーマはユーリが語るように生命とは何か、ということらしい。

火気厳禁の文字は古代文字に見える。タンクには恐らく機械が判別するQRコードのような模様がついている。サーバー室のような区画を通過すると、巨大な建設者が歩いている。初めて登場する電子機器だ。二人の常識では、機械が考えたり話したりはしない、とのことだ。

これまで古代文明と呼ばれていたものは、西暦2019年からすると毛が生えた程度だった。しかし実際は遥かに進んだ機械文明が構築されていたようだ。しかも人類が関わったのはこれらの自律機械ぐらいまでで、その後は機械が進化して勝手に発達したようなのだ。

このように遥かに発達した文明による兵器があるにもかかわらず、旧式の兵器で人々が戦うという話は、たがみよしひさGLAYを思い出させる。GLAYでは、人類は滅びたがっていると判断したAIが、人々をお互いに戦わせるという内容だったが、こちらの世界はどうもAIによって人類が一度救われたフシがある。

水槽に入る道や出口にも、機械の使う文字のような模様が貼ってある。このことから、人間よりは機械が主体的に使っている施設のようだ。管理機械の後ろには、停止した同型の機械が並んでいる。ようすから、破壊されたのではなく、燃料切れで止まったようだ。

水槽に魚が一匹しかいないのはなぜだろうか。恐らく、この水槽は成魚を成長させる水槽なので、産卵させた卵を稚魚にするまでの施設が稼働を停止したためであろう。

管理機械が簡単に人類の歴史を語ってくれている。人類は地球の生命循環から独立した都市を作り、その基盤層の管理を機械に行わせたということだ。戦争で機械の管理ができなくなったことが滅亡の理由かもしれない。

人類の生存の基盤となる環境を人や機械が作った都市に依存するのと、自然と人が作った田舎に依存するのと、どちらが安定するのだろう。

 

「生命」では機械が突然変異や進化についての話をする。4巻で進化した自律機械の話が出てくるが、魚の管理機械は、どの程度進化した機械なのだろうか。

魚を食べたがっていたユーリは、餌を与えることで魚の生存に共感したのか、魚を助けようとする。そして大型建設機械を破壊するのだが、共感できるものは救い、共感できないものは破壊するというのは戦争そのものだ。

生命とは終わりがある、というのがテーマのまとめらしい。しかし巻末ではまた別のことが語られている。ユーリなら、生命は食べられるものと言ってくれると思ったが。

 

考察しながら読む少女終末旅行「17迷路/18調理/19記憶/20月光/21螺旋」

ここから3巻である。意識しているのか不明だが、21の螺旋で半分(後に加筆して増えるが連載時は)である。

生きるというのは同じ場所をぐるぐる回るような感じだが、少しずつ移動している、という主題らしい。

螺旋の次の技術で、再び「暗いー」から始まるのも。最終回が星空の下で二人で眠ることで第1話と対になっているのも、螺旋による繰り返しを暗示させている。

 

「迷路」はイシイから教えてもらった食料生産施設に行く回だ。管の中が道なのに、管の上を歩いて迷子になっているらしい。

高所恐怖症のチトにユーリは相変わらず辛辣である。ヘタクソとかヘイヘイとか心が狭いとか。チトが弱ってるときのユーリは生き生きしてる。

設定資料によると、無数のパイプからなる施設は文明崩壊前に作られたが、終末後は食料生産施設への道にのみ使われているらしい。そもそも何を通すパイプなのか、何故深いところまで続いているのか分からない。

管の中に管があったり、出口があることから、水の管だけでなく空調の施設でもあるようだ。

 

「調理」は食料生産施設でレーションを作る話である。久しぶりの食料調達だ。爆撃機の中からレーションを見つけたのが冬で、カナザワと会った頃にはまだレーションを食べていたし、写真の8月でのこり30日分、イシイの飛行機が飛ぶのが10月後半だから、食料に関しては本当にギリギリでつないでいるようだ。

いもはつる性なのでサツマイモ系かもしれない。二人が降りたのはシューターだから収穫したイモを降ろす用だろう。

イモを粉にする粉砕機。カッターとコンベアが同時に動くボタンとは恐ろしい。チトがカメラを持っているが、ユーリは不満なのだろうか。後にラジオを見つけたときは離さず持っている。

あとチトにぶたれるとユーリは喜ぶ。

料理は楽しそうだ。生地は1年分はないらしい。実際、次の冬で旅は終わる。次に食料を手に入れるのは潜水艦になる。

 

「記憶」の墓は、文明崩壊後、第二次文明の繁盛期に作られたもののようで、名前が未来文字だ。

二人はラジオを見たことがないようだ。文明崩壊後に復元された機械はあまり電子機器が使われていないアナログなものが多い。資源がなかったのか、電子機器を嫌っていたのか、両方かもしれない。

アニメでは地面にレールのようなものがある。ハコが取り出しにくいのは、専用の昇降機がどこかにあるのだろう。アニメでは寒そうにしていて、カメラの日付は12月8日である。

墓の名前は、いそがい-おかひじき?と書いてある。名前なのか?

 

「月光」は人を狂わせる力があるらしい。二人がいるのはたまにある斜めの連絡塔の外側に作られた第二次文明の住居である。建物はうってかわって粗雑な作りで、わりと物というかゴミがたくさんある。

ビールには3201か3291と書いてある。製造年なのか賞味期限なのか。あいかわらずチトはユーリに毒味させる。

酔うと陽気になるチト。「おかしくなった…」は、冒頭の「いつも不機嫌だ…」と対になってる。

踊る二人が、いつか月に行こう話すのが、伏線なのかヒントなのかは分からない。この後も二人が月に行くのを示すようなものが出てくる。

 

「螺旋」はよく見ると、二人がビールを見つけた斜めの連絡塔の奥にある細い連絡塔の中にあるようだ。昇降機には08れんらく?と書かれている。

死ぬのが怖くて生きられるか、生きるとはつまり螺旋とかユーリの迷言か真理かが出てくる。

またいつもの繰り返しが始まる、とともに次の回につながっていく。

 

考察しながら読む少女終末旅行「14故障/15技術/16離陸」

二巻の後半である。飛行機をつくるイシイが登場する。二人目にして、最後の人間のゲストだ。

もっと多くゲストを出した方が、話を作りやすいし、説明もしやすいはず。ネタを考えるのも楽だろうに、頑なにでてこない。

人類が滅亡するにあたって、上に向かった人が少ないのは、何か理由があるのだろうか。宗教と関係があるのかもしれない。上の方には怖いAIやエリンギなどの神がいるとか。

 

イシイの回にも明確なテーマがある。それを語るのはやはりユーリである。絶望と仲良くなる、というテーマだ。

カナザワのときは、生きてることに意味はないけど、いいこともあるからそれを見つけるのが意味のようなことが言われた。

アンソロ集の番外編でも、どんづまりに居て絶望しかない世の中で何をすればいいのか問われている。

本編そのものが、人生と同じく結局は行き倒れる未来しかないような内容ではあるのだが。

ところが、二人が最終回後も生きていると考えると全く逆の見方ができる。絶望しかない世の中や人生に見えて、実は生きるヒントは周りたくさん隠れていて、本人たちが気づいていないだけなんだ、という。

本編を読むと、二人が生き残るためのヒント、というか生き残れると匂わせるアイテムがあちこちに隠れて存在するのだ。

 

それはともかく、絶望である。ユーリは図書館でも分かるように、上に行くことにこだわっていない。死ぬまでチトと居られればいいのだ。チトは、おじいさんの遺言から上を目指すことにこだわっている。

故障したのはミッションのようだ。エンジンにはなんとホンダと書いてある。

登場するイシイは走っている。どうやら、飛行機はラジコンで、電波の届く範囲は短いようだ。

イシイが持っているのはライフルスコープに見える。何気に、上着の下に拳銃を持っているが、警戒心はどこかで無くしてしまったようだ。

76空軍基地は基盤殻層の内部にあるのだが、文明のレベルは低い。出入り口の数字が未来文字なところから、文明崩壊後に再利用した施設のようだ。

 

15の絵を見ると、滑走路はシャッターの下にもあり、着陸用なのかもしれない。飛行機の上にあるクレーンにある水に似たマークは、雨音の多脚戦車にもあった。メーカー名なのか。

戦車には染の九が七になった漢字があったが何だか分からない。染がセンと読むから7000式?

手作りの飛行機はリベットと溶接で作るらしい。

イモはこの形で水耕栽培で地上部に実るらしい。だいぶ品種改良が進んでいるようだ。イシイの部屋にはタイプライターがある。コンピュータのようなものはない。

壁の図面には二人が見たツホイ95やB2爆撃機がある。wrightflyerと書いてあるのはライト兄弟が初飛行した機体だ。

三人が着ている作業服にはこうくうと書かれている。航路図にはchi?ecityとある。文字はときどき不明なものがある。アニメ版との設定の違いのようだ。

アニメ版だと飛行前に記念撮影をして、日付は3230年10月25日になっている。飛行機の翼の下面には、イシイ・チト・ユーリと書いてある。

飛行機は失敗してイシイは下に落ちていく。カナザワのときもそうだが、人々が何かしようとする試みはことごとく失敗したように描写される。

考察しながら読む少女終末旅行「09写真/10寺院/11住居」

ここから2巻になる。2巻の巻末には、これまでの道のりの図があり、都市の概念が分かるようになっている。

おじいさんの家を戦火に追われて出発→冬の廃管置き場を西へ→坂→連絡塔を上へ→それなりの期間→暗くて巨大排気ファンのある都市基盤殻層→地上(屋上)部→武器の墓場→第七十二地上発電所→倉庫→巨大排水施設→地上都市→連絡塔→地上(屋上)部となっている。

連絡塔を昇降機で登ったとき、基盤はスルーしたようだ。基盤の中には自律機械による独自の生態系が成立しているのだが、それを知るのは後々になる。

扉絵には、プリントされた写真が並んでいる。よく見ると、飛行機とイシイが写っている写真がある。この扉絵がまた不思議だ。カメラは原子力潜水艦でエリンギに食べられてしまうのだが、イシイ登場から潜水艦まで、二人がカメラのデータをプリントした記述はない。二人の荷物にも出てこない。

扉絵が単なるイメージなのかもしれない。

が、ここは想像力を働かせて、原子力潜水艦からのデータを取り出した誰かが、同型のカメラを用意して画像をプリントしたのだと推測してみよう。むしろ誰かとは、本人たちではないかとも思うのだが。

このカメラは不思議な機械だ。ファインダー内の日付は西暦3230年08月06日13時09分だ。夏なのだ。排水施設が春の雪解けとすると、それから六ヶ月ほど経過しているようだ。レーションは半年分もあったらしい。あと一ヶ月分しかないようだが。漢字が進化したような文字で月島精機と書かれている。レンズはボディ内に収納でき、撮影可能数は52万枚、電池は無限、古代文明の遺品であるらしい。一方で、焦点や露出はマニュアルである。オートにできるのを知らないのか、趣味性が高い製品なのかは不明。L-700という型番やISO、シャッタースピードの表示は古代文字である。

このカメラは、古代文明の技術で作られながら、第二次文明の特徴も見られる。可能性として、古代文明によって作られたカメラを修理もしくは改造して利用していたのではないか。であればピントが手動なのも納得できる。

もうひとつの可能性を考えてみる。月島精機は、どこにある会社なのだろう。名前から単純に推測すると、月の人工島に所在しているのだろうか。その場合、極めて高度な技術によってつくられた趣味性の高い製品ということになる。

それにしても、第二次文明はどこから来たというのだろう。古代文明が作った基盤や連絡塔と、第二次文明の乱雑な地上部を比べれば、前者の方が発達していたのは明らかである。

この回はじめて、謎の石像が出てくる。文明のエネルギーを停止させ地球を眠らせるエリンギを模したもののようだ。この先、寺院や墓場でも出てくる。アニメでは01星空で、縄で縛られた石像が出てくる。何故文明を終わらせるものが崇拝されていたのか、その後迫害されるようになったのかは不明だ。

アニメではたびたびカメラの日付が出てくるので、時間経過を知るのに役立つ。

 

二人は寺院の中へ入っていく。石板には建立2828年と書いてある。今からおよそ400年前に建つというのは、これを見て言ったようだ。とすると、二人は現在の西暦を知っているようだ。

 

せかいがほろびゆく、しかし、おそれるひつようはない

?ろびはつねにわたしたちとともにある

すべてえはみぎからひだりつとながれていくなかで

しうきようこそゆいいつのしゆうてやくてえんでありすくいでもある

3にんのかみはひとびとあんじゆうの?

ちへみちびきせかいをあかるくてらすだ

 

石像のうち2体はエリンギの仲間であることに疑いはないだろう。中央の像は連絡塔の管理AIに似ていなくもない。回りの飾りは、AIの頭の上に表示されるステータスに似ている。

彼らが神として祀られている理由はなんだろう。かつて実際に人々を救ったことがあるのではないだろうか。

古代文明が滅びるとき、何かが人類を救って地球を脱出したはずだ。でなければ、地球が眠りについたときに人類が存続できない。であれば、救ったのはAIとエリンギである可能性が高い。

AIは機械と人間の仲裁をするのが役目と言っていた。エリンギが進化した機械とすれば、筋が通る。人々を安住の地に導くというのは、本当のことだったのではないだろうか。

ただし、時代は下りAIとの接触が断たれると、かつての言い伝えが宗教化されて歪曲されているのではないか。

 

次の住居では、これまでに比べて大規模で整然とした団地が出てくる。これらは終末以前に作られたものらしい。インフラが一部生きており、最近まで人が住んでいたようだ。

パイプにはみずと書いてある。

ベットにはフカフカと書いてある。

食料棚の箱には美味しい食べ物と書いてある。

ほとんどの部屋にドアや窓がない。家具もない。そして死体もないし戦火の跡もない。戦争で人が滅んだだけにしては不自然なところだ。海面上昇によって都市が水没したのではないかと思う。

 

次の扉絵は、夢の中ではあるものの、水没した都市の上にいる二人だ。

二人が寝ている場所は、基礎が長い鉄骨でできた高床式住居で、ここからも過去の水位上昇を感じる。

ユーリが魚になった夢の中も、送電線の鉄柱があり、水没した都市のようだ。

二巻になって、何事もなく旅が続いていきつつ、このようなヒントが毎回提示される展開になっている。

 

雨音では、二人が雨宿りする場所は、古代文明崩壊時に使用された多脚戦車である。ここで始めて、古代兵器が登場する。

古代戦争が二人が知っている武器をはるかに超えるテクノロジーで作られた武器で行われたことの暗示である。

しかしこの戦車はいつの時代のものか不明である。文字は古代文字に近いが、すこし変化した形跡がある。

この先に出てくる巨大人型兵器は、これと同時代のもののように見える。また自律機械も似たようなデザインだ。

一方でこの先に出てくる原子力潜水艦やロケットは、西暦2000年前後とデザインが変わらない古風なものだ。不思議である。

 

考察しながら読む少女終末旅行「06遭遇/07都市/街灯」

カナザワが登場する。カナザワは地図を作りながら旅をしている。彼の持ち物はゴーグルとカメラ、二つのカバンとタバコである。

このカバンのひとつは、かつて一緒に旅をしていた女性のものだと、あとでもらったカメラのデータから推測されている。

この回は、前の回までで漠然としていた世界観を説明するという目的を持って書かれたのではないだろうか。

「人はなぜ生きるんだろう」は繰り返し問われるテーマとなる。旅をしている現状や、上層へ向かっていること、都市や文明の状態などがカナザワとの会話を通じて語られる。

タバコを発見してからカナザワに警告する二人を見ると、ある程度の訓練を受けているようすがわかる。ユーリが文字がほとんど読めないところからも、まともな教育は受けていないようだ。

チトとユーリという名前も、ここで判明するのだろうか。カナザワは読者への説明役をしていく。

階層型都市の外観が示され、連絡塔や基盤が古代文明によってつくられ、その後に彼らの祖先が住み着いたことが示唆される。

看板には「連絡塔か-07」と書いてある。住宅地に住んでいたのは彼らの祖先らしい。読める文字が使われていることから、すでに漢字の進化した文字の文明より後退した時代のようだ。

あと住宅には窓やドアがないし、外れたドアや窓が落ちていることも少ない。

これらのことから推測されるのは、

古代文明が崩壊したのち、古代人はどこかへ消えたということ。

・古代人の生き残り、もしくは日本文化を引き継いだ集団がどこかにいて、彼らの子孫が移住してきたこと。

・第二次文明は第二次世界大戦の武器を復刻する程度まで発展したこと。

・第二次文明も崩壊したこと。

などである(カナザワの推測であるが)

疑問が湧く。古代文明が崩壊した後に移住してきた人々、彼らの祖先は、どこから来たというのだろう。この謎は最終的に未解決のまま完結する。

そして最終回後も二人が生きているのではないかという希望にもなっている。というのも、日本語だった文字が進化した文字になるまでの間、人々が生きていた場所がどこかにあるはずだからである。

古代文明の特徴は、レーザー核融合と自律機械、階層都市で、私たちの現代文明が少し進んだ西暦2100-2200年前後に崩壊したと仮定し、第二次文明が栄えたのが寺院の記述から西暦2800年頃、第二次文明が崩壊したのが昇降機の年代から西暦3000-3100年頃と仮定する。文字が変わるぐらいの期間、どこかで人々が生き続けたことなる。

文明崩壊の原因も最後まで謎のままだが、死体が(最下層まで)ない、窓やドアがない、街がある程度綺麗という点からも、水没説は有力である。前述したパイプや排水、空調施設、高床式住居からも推測される。

上の階層ほど都市機能が残っているというカナザワの推測は、街灯がついていたのである程度正解だったようだ。ただし、燃料や食料はほとんど残っていなかった。

チトとユーリが上を目指すのは、おじいさんの言葉が原因であるが、カナザワが登ってきたのは何故であろうか。別れたとき北へ向かうと言ったのも理由がわからないままになる。

生きる意味は「ない」という結論が述べられる。それでも生きている理由を見つけるのが旅のテーマのようだ。ここでは、「生きていればたまにはいいことある」と述べられる。このように、解答を述べるのはユーリの役割というのは、今後も続く。

 

考察しながら読む少女終末旅行「03風呂/04日記/05洗濯」

短編をリメイクしたものらしい。ユーリの詩人キャラは他の話ではあまりない。おバカ、食いしん坊、迷言、真理キャラである。

悲壮感はないが、行き倒れ寸前である。雪だるまの鼻は銃弾だ。

第七十二地上発電所は、核融合発電所らしい。地上施設の下に巨大なドームがあるそうだ。文明崩壊前の古代文明の遺産のようだが、外のパイプは後付けにも見える。

このような文明崩壊前の施設は、後期文明で改修されて利用されていることがあるようなので、この施設もそうなのではないだろうか。

アニメによると、おじいさんの家を出てから風呂は4回目だそうだ。すると出発してから半年も、あるいは一ヶ月も経っていないのかもしれない。

死後の世界があったかい、ごくらくは死後の世界というのは、後々、寺院の話につながる。

 

倉庫と呼ばれる建物で休む二人。ランタンにも066とケッテンクラートと同じ番号が書いてあるのは部隊番号だろうか。

この回では、日記を通じて記録の大切さを学ぶことができる。

記憶と記録の違いについては、後々おじいさんの話や人工知能の話にもからんでくる。記憶なんて…のセリフもテーマ的に重要らしい。

戦争の原因は食糧や資源の不足だけではない。

戦争-争いが起こるのは、悲惨な記憶が薄れたから記録を残しておくのは大事。一方で、戦争-争いが、起こるのは酷いことされた記憶がなくならないからで、それには忘れるのが大事。

そんなことが言いたいようだ。

「記憶なんて生きるジャマ」「絶望と仲良くなったんだよ」はユーリの迷言であるとともに作品のテーマの基調となっているように見える。

芥川龍之介の「河童」は未来にもあるようだ。漢字が進化した文字で書かれていて、文明崩壊後の第二次文明発展期に作られた本のようだ。

第一次文明によって基盤と連絡塔が作られ、崩壊後生き残った人間が同じ場所で第二次文明を作ったのか、よそから来た人間が作ったのか明示されていない。

ユーリはアホだが、チトも相当酷い。火のついた本で叩くし、顔を潰すし、バカクズゴミだし。ゴミと言われたのは根に持っているらしく、あとで別のセリフで出てくる。

ユーリはチトに何をされても、滅多に怒らない。頭が空っぽでお腹がいっぱいなら人間は幸せということが言いたいようだ。

 

魚が出てくる。アニメの声によると、オスらしい。自律機械に飼われていたのがメスのようだ。

雪が溶けて春になったようだ。雪解け水はアニメでは初めから満水だが、原作では管から出た水が溜まったように見える。

大昔の都市の排水施設が云々のセリフがあるが、他に説明はない。都市が温暖化で水没していたときの排水機構のなごり(一定以上水が溜まると排水する)なのではないかと勝手に思っている。

海について話をしている。ずっと下の方にあると言っている。最終話にその一部がでてくる。舞台が日本なら、2000mも登ればどこでも海が見えると思うのだが、ここは日本ではないのだろうか。

魚には胸ビレも背びれも腹ビレもあぶらビレもない。食べるためだけに品種改良されすぎた魚のようだ。

この世界では、人以外の生物は生きていないらしい。人と、食糧に利用されるために生産されていた生物いがいは、古代文明の時代にすでに絶滅したようだ。